数年前、見立の湯を探しに来たことがあったんですが、その時は大きく抉れて荒れた林道に恐れをなし、もう少しという所まで迫りながら途中で断念したのでした。いや、なんせ車を買い替えたばかりの新車だったもんで。
んで、数年後の今、再チャレンジです。
前回と同じく林道に入ってまず、道の左右から大きく垂れ下がった雑草の洗礼を受けます。車のルーフよりさらに高く伸び放題の雑草が道に覆いかぶさり、車一台分の幅さえ開いていないのです。ぎ〜ぎ〜と嫌な音を立てて車のサイドを擦りながら、気合いだ〜っ!と叫びながら進みます。
雑草の門をどうにか通過すると、今度は抉れた道が行く手を阻みます。雨が降った時に水流がかなり深く土を掘っているので、亀の子スタックになりかねません。以前まで乗ってたオフロード四駆であればなんてことはないのですが、今は普通のミニバンなので危険きわまりないのです。
さらには細い道幅のため、Uターンできる場所が殆どありません。下手すればバックで戻るハメになる可能性もあります。先がわからない不安との戦いです。
んで、不安に負けました。ぎりぎり転回できる幅の場所で車を停め、そこから先は歩くことに。
ワンブロックほど歩いたところ、唐突にそれが現れました。
見立の湯と書かれた白い看板。やけに綺麗で、この荒れ放題の山中に誰が立てたのかひと際目立っています。はっきり言って浮いてます。*写真(1)
看板の所から、薮の中の踏み跡を辿って行きます。
5〜10分程山道を歩くと、下方にコンクリの人工物が見えてきました。*写真(2)
人工物に向かって下りて行くと、それが湯船。ここが見立の湯です。*写真(3)
ま、当然のごとく脱衣所はないから湯船のすぐ横で着替えることになります。
湯船は中央で半分に仕切られていて、湯が入っているのは片側だけです。なのでそちらに入浴。
ぬるくもなく、熱過ぎもせず、なかなか具合の良い湯でした。コンクリの湯船には少しのコケが付いているだけで、結構頻繁に掃除がされているようです。看板を立てたチームがメンテナンスしているんでしょうか。大切にされていることがわかります。
周囲は緑の魔境とでも言いたくなるような、鬱蒼と茂る草草草。今にもここを侵食してきそうな、緑一色の世界。ムッハーと鼻を突く草いきれの中、原始人に戻った気分でのまさに森林浴が楽しめる温泉でした。