八ヶ岳っちゅうとまず主峰の赤岳、そして横岳や硫黄岳あたりの南八ヶ岳をすぐ思い浮かべてしまいますが、どっこい北八ヶ岳だって負けず劣らず人気があります。
なんて、いやホントは南ヤツよりも人も少なくて静かかなぁなどと期待を抱いて行ったのですが、ロープウエイもあって1時間程度で山頂に立てるときたもんだから、人が多い多い。
縞枯れ現象という、枯木と成木が交互に帯状となって広がる珍しい風景が見れるので、観光客が多いのもまあ頷けます。
ロープウエイの山頂駅を降りると、早速ぞろぞろと人の列。
山頂駅のある場所は溶岩台地になっていて、一周30分程度で散策できます。*写真(1)
なので観光客が一方通行の散策路を列になって歩きます。リュックを背負った人もちらほらいますが、殆どがちょいと見に来た観光客です。ここを抜ければ静かな登山道が始まるんだ、と我慢しながら先を急ぎます。
散策路を外れて暫く行くと、木の根が露出して抉れた登山道に変わりました。*写真(2)
やっと静かな山旅が始まる、とほっとひと息。
なんてぇのは甘い甘い。
前からも後ろからも賑やかな人の声。苔生した森林の中の静かな登山なんて思惑はいともあっさり崩壊しました。
途中、20〜30人の団体が10メートルくらいに渡り登山道を塞いで休憩していたり、歩き難いことこのうえなし。塞いでいたことよりも、追い抜く時にセオリー通り「こんちわっ!」っていちいち言うのが面倒くせーよ。ま、そんな内心は隠してにこやかに挨拶を返しましたがね。
坪庭を出て登山道に入ってから30分弱で北横岳ヒュッテに到着。*写真(3)
北横岳ヒュッテの奥、再び登山道が始まる所で、「登山者観光者へ」という事故防止の注意看板が立っていました。*写真(4)
登山地図が無かったり足に自信がない者は北横岳山頂より先へ行くな、という注意が書いてあるのですが、これを見ると北横岳山頂までは普通に観光客が行くということなのですね。ま、歩いて1時間程度だし、それも当然っちゃあ当然か。
看板のところから岩石がごろごろ露出した急登を10分ほど登ればそこはもう山頂です。*写真(5)
北横岳山頂は広々した広場になっていて、2,500メートル近い標高を感じさせません。なだらかな裾野が眼下に広がり、優しい雰囲気です。*写真(6)
南方を望めば、縞枯山の奥に南八ヶ岳の峰々が連なって見渡せます。…の筈だったんですが、南ヤツはすっぽり雲に飲み込まれていて、なんも見えません。*写真(7)
北ヤツは晴れて青空も広がったのですが、南ヤツは雨が降っていたんです。近そうに見えてこうも違うもんだ。
帰りは北横岳ヒュッテから5分ほどの七ツ池に寄りました。*写真(8)
こちらは人も少なく、北ヤツらしい雰囲気を味わえました。ただ、後ろからカンラカンラと熊鈴のでかい音に追いかけられたのが落ち着きませんでしたが…。