かつて旅館があった場所にそのまま湯が湧き続け、有志によって維持保存が続けられていた高雄温泉。現在では格安旅館で知られる「おおるりグループ」に買い取られ、おおるり山荘として営業されています。
他の野湯と違い車ですぐ近くまで行けるため全国にファンは多く、休日平日を問わずいつ来ても賑わっていました。
例えば自分が始めて行った時には、もう完全に日が落ちた夜8時過ぎでしたが、灯もなく一寸先は闇の状態の中、大勢の老若男女が賑やかに入浴していました。
また、早朝に行ってみた時は時間が早いにもかかわらず既に数台の車。どうやら主(ぬし)らしいお婆さんと数人のお爺さんおじさん達が、これまた楽しそうに談笑入浴中でした。
公に管理されていない野湯としては希有の存在で、人気の共同浴場なみの人出です。
ろくな脱衣所もないのに女性も多かったのは、車がすぐそばまで入れるので車を脱衣所にしてタオル巻きで歩いて来れたからでしょう。
近くにある共同浴場「元湯鹿の湯」も人気がありますが、あちらには露天風呂がないということと、常連が多く入浴作法にやたらうるさい独特の雰囲気が馴染めない人も多かったのではないでしょうか。それに比べて高雄温泉は自由で和気あいあいとした雰囲気がありました。
2003年、おおるり山荘の工事が始まった時から、かつての高雄温泉はなくなりました。工事中でも湯船のあるうちは不法侵入して入浴した人もいるようです。そんな人気の高さを勘案してか、おおるり山荘の営業開始後も露天風呂は旅館の厚意により暫くは無料開放されていました。といっても湯船は拡張され、雰囲気はがらりと変わっていますが。
なお、現在では無料開放はなくなりました。