名前がいいですね、硫黄谷。
いかにもたっぷり湯が湧いてそうな。
しかも地図で見ると徒歩の距離もたいしたことなさそうな感じ。川を辿れば道に迷うこともなさそうだし。
ちゅうことで、なんの躊躇いもなく御嶽山に足を踏み入れたわけです。バリエーションルートになるということを甘く考えたまま…。
まず出だしは濁河温泉にある登山口から。途中で仙人滝を見たりしながら、整備された登山道を歩きます。
草木谷に架かる仙人橋に出合ったら、ここからが始まりです。*写真(1)
仙人橋から登山道を外れ、巨岩がごろごろの草木谷へ下ります。*写真(2)
そこから既に見えていますが、歩き難い巨岩の上を渡り歩いて暫く行くと、砂防ダムに行く手を阻まれます。*写真(3)
砂防ダムの上を見ると、今にも転がり落ちてきそうな巨岩が身を乗り出しています。これだけの巨岩を引きずり下ろして流れる水のパワーってすげー!とか思いながら、乗り越えられそうなルートを探します。しかし、これじゃあ砂防ダムって言うより岩防ダムだな。
ダム横からなんとか登れそうです。じくじく水っぽくコケがついて滑りやすい斜面を、草を掴みながら登ります。*写真(4)
じゅくじゅくした土には、何かの幼虫みたいなのが蠢いていたりして、この段階で早々にも気持ちが挫け始めてます。
ダムを乗り越えたら少し普通の川原っぽくなり、比較的歩きやすくなりました。でもすぐまたもや巨岩渡りの始まり。*写真(5)
川原を埋めつくす大小の岩ころは、定着してなくぐらぐら浮いているので、気を抜くとコケそうになります。
確かふたつ砂防ダムを越えた後、三つ目だったと思います。ついに砂防ダムの横には上れそうなルートが見つからなくなりました。うろうろ探すと、どうやら手前から崖を上がって薮に突っ込むしかなさそうです。
背丈ほどの密集した薮に突入。*写真(6)
かなり厄介です。茎は木の枝のように固く、しかもかなり密集しているので足元も見えません。川原と同じようにごろごろした岩の上にあるものだから、漫然と歩けば穴に落ちるし。慎重に薮をかき分けながら足探りで進みます。
10メートルくらいでしょうか、なんとか薮を突破。
それにしても、砂防ダムを造るためには重機が入っている筈なのに、それらしい道の痕跡はどこにも見当たりません。不思議だ。
この辺りからそろそろ川底に白い堆積が見え始めます。崖にもいかにも硫黄っぽいウンコ色の析出が見られます。*写真(7)、写真(8)
いよいよ温泉っぽくなってきたな、とニヤニヤ。
そして、不安定な岩が谷を形作る先に、ひと際高くそそり立った砂防ダムが見えてきました。*写真(9)
水量も多くて、ダム手前は完全に水没しています。これは、かなり手前から左岸の薮を行かなくてはならなそう。しかも奥にももうひとつ砂防ダムが見えていて、ふたつ跨ぐ長い薮漕ぎになりそうです。
実は計画が甘すぎて、手前の薮漕ぎで目印にする布きれをほぼ使い切ってしまっていました。
さらには前日に岩間噴泉塔群に行ったから疲れてるし、この先さらに険しさと危険が増すのは事前の調べでわかってるし、しかも翌日は湯川源泉に行くつもりだから体力も温存しなくては。
いや、はい、言い訳です。
完全に気持ちが萎えてしまい、ここで諦めました。
周りを見ると、青白い川の水が温泉っぽい。もうここでいいや、温泉成分も少しはあるだろう。無理やり言い聞かせながら、川に入りましたさ。
あったかくないから、これじゃ「温泉」じゃなくて「泉」だ。
冷た過ぎ…。