登山&のら湯-山道のあっち側

甘湯新湯

訪問データ

【訪問日・天候】

2000年秋 平日 晴れ

野湯に興味を持ち始めた初期の頃から行きたかった甘湯新湯。というか、甘湯新湯の存在を知ったから野湯に興味を持ったと言った方が正しいかな。

もちろん、一番最初に探しました。しかし見つからず。

もちろん、再チャレンジしました。しかし見つからず。

さらに三度目のアタックをかけました。しかし崖の崩落に阻まれて断念。

で、今回、四度目の正直です。

ネットの頼りない情報と2万5千分の一地形図とを首っ引きで照らし合わせ、ここよりは下流にあるという地点を割り出します。

はっきりしているのは、甘湯沢の小太郎ヶ淵よりも上流にあるということ。実は最初のチャレンジではそこから上流に向かって遡行を試みて、川の中にしかルートを見いだせなくなった地点で諦めたのでした。そこで今回は上流側から下流に向かって遡行を試みようという計画です。

林道の入口に車を停め、林道を歩き始めます。*写真(1)

林道はやがて川を跨ぎます。そこに架かるぼろっちい橋から川に下りて、遡行開始です。*写真(2)

でかい石がごろごろ転がっている川岸を、時には右岸、時には左岸とルートを探しながら進みます。

所々木の枝に赤いテープが巻かれているのは、おそらくルートを示すために誰かが結びつけたのでしょう。

何度か進退窮まりそうになりながらもどうにかこうにか進んで行くと、やがて温泉臭さが漂い始めました。

黄土色のぐちゃぐちゃ泥に行く手を阻まれます。足を置くとずぶずぶ潜って靴を持っていかれてしまいました。でもこの泥は温かい!温泉の湧出があるようです。しかしこのまま進むことは無理で、ここは一旦川を渡り対岸を行きます。

川の向こう側、先ほどの泥地帯の少し下にブルーシート発見!*写真(3)

手前の岩には「ゆ」と赤い文字が記されています。ここに間違いなし!

再び川を渡るとありました。ブルーシートにただの水溜まりにしか見えない小汚い湯が溜まっています。*写真(4)

誰が引いたのか泥地帯からパイプが延びてブルーシートの湯船にたらたらと湯を垂らしているのが、うまく作ったもんだなと感心です。*写真(5)

でもこのままじゃ汚すぎて入れません。一度ブルーシートを引っぺがし、川で洗ってからもう一度セットし直します。*写真(6)

湯の出は細く、溜まるまで時間がかかりますが、じっと我慢の子。

さて、そろそろ入れそうかな、と手を入れてみると、アッチイよっ!

とても入れる温度ではありません。ホースが湯船の所から川に延びていたので、どうやら川の水を導くように置いたと思われるのですが、どう動かしてもうまく川水は流れてきませんでした。

仕方ない、おにぎりを入れていたコンビニ袋を取り出し、バケツリレーならぬコンビニ袋リレーで川の水を湯船に注ぎ込みます。えっさ、えっさ。しかしなんつっても容量が小さい。30分から1時間ほど、腰が痛くなるまで作業を続けてやっと入り頃にすることができました。

そして、入浴!うりゃっ!

うぉぉ、極楽極楽。

しかし、そのまま陶酔に浸っている間にも湯はどんどん流れ込み続けているわけで。だんだんまた熱くなってきて、慌てて湯を飛び出すとコンビニ袋を掴み裸のまま再びコンビニ袋リレーを始めるのでありました。