
初めて登山に行こうと計画した場合、何をおいてもまず揃えるべきは登山用の衣類と登山地図だと思っています。できるだけ辛い思いをしたくないのであれば色々と揃えなければならない物も出てきますが、まあ我慢すれば日常の物を流用してもできないことはありません。しかし衣類と地図に関しては命に関わってきますので、必ず専用品を揃えた方が良いでしょう。
また、快適性は疲労を大きく左右します。ぐちゃぐちゃに濡れた下着は身体を冷やし体力を奪います。精神的にも辛かった思い出しか残りません。良い物は値段も相応にしますが、それだけの価値はあるので損はしません。
雨具
山の天気は変わりやすいとは良く言われることです。実際、夏場などは対流の影響で雨が降らない方が珍しいくらいの気持ちでいて下さい。山では真夏でも低体温症で命を落とすなんてのはありがちな事故です。例え100%雨が降らないと予想できても、雨具は必ず持たなければなりません。雨具には防風性もありますので防寒着としても優秀ですので。
但し、コンビニで売っているビニール合羽で済ませちゃおうなんて考えは今すぐ捨てた方がよろしいかと思います。
登山では大量の汗をかきますが、汗の抜けないビニール合羽では雨は防げても、身体から出る汗で結局ずぶ濡れになってしまいます。防水透湿を謳うしっかりした雨具を用意するべきです。快適性は雲泥の差です。
動きやすさを考えると、ポンチョタイプはやめておいた方がいいと思います。ポンチョの場合、風が強い時には着てないのと変わりないどころか、風をはらんで空中散歩なんてことも。山では信じられないほどの強風が吹くこともあります。場所によっては雨が下から上に向かって降ることだってあります。上下セパレートタイプが無難です。
値段は1万円前後から5〜6万円するものまで色々あります。値段の差は何かといえば、防水・透湿・重量・機能性の総合的な差となります。まあ実際はこれにブランド料が上乗せされているわけですが。もしデザインとか拘りがなくてどれにしようか決められないなら、モンベルのレイントレッカー辺りを買っておけばまず間違いはないでしょう。
レインスパッツもあると便利です。靴がハイカットなら足首から雨が進入し難くはあるのですが、山道では脚の動きも相当なため、やはり足首から濡れてきます。スパッツを雨具の外側から装着した場合には雨具の裾がばさばさして引っかけてしまうのを防止する効果もあります。雨具の内側につけた方が止水は確実になりますが。ちなみに雪山ではスパッツは外側です。内側に着けた場合に脚がズボッと雪に潜ったらどうなるか想像できますね。
また、雨以外でも砂っぽい路面や小石が多い路面などで装着すれば靴の中に砂や小石が入るのを防ぐことが出来ます。浅い川を渡る場面では素早く徒渉すればスパッツだけで水の浸入を防げます。
ベースレイヤー(下着)
普段着の綿の下着で登山しようなんて考えない方が身のためです。綿は保水力が高く、一度濡れるとなかなか乾きません。汗をかいたところに風が強くなれば、汗冷えで低体温症まっしぐらとなります。少なくとも化繊100%素材の下着にすべきです。
登山用の下着では織り方にも工夫があり、吸水発散性が優れています。汗を積極的に吸い取り、表地に移動させて蒸発拡散しやすいように作られていますので、快適度が全く違います。綿の下着で登山するともう二度と行きたくなくなりますが、登山用の下着ならもう疲れ方から変わってきます。また、雨具の透湿性は水が気体になってこそ発揮されるもので、保水する綿の下着ではいつまでも液体のまま内部に留まってしまいます。積極的に汗を蒸発させる下着を着て初めて透湿性が生きてくるのです。
ただ、化繊には欠点もあります。まず臭くなりやすいこと。そして肌触りがイマイチなこと。特に化繊は汗をかくとぺたぺたした肌触りになるので、これがとても気持ち悪いのです。この点については綿に劣ります。
下着は身体にぴったりしたサイズで隙間が少ないものを選びます。だぼだぼサイズでは隙間のせいで汗をうまく吸い取ってくれません。登山下着として売っているものはまともな物なら細身に作られていますから、オーバーサイズを選んでしまったりしなければ大丈夫だとは思いますが。
自分の場合、そんなに数多く下着を買ってみたわけではありませんが、今のところパタゴニアのキャプリーンで落ちついています。上記欠点をうまく解消しており、なんら問題を感じません。生地の厚さの違いで4種類ラインナップされていますが、キャプリーン2辺りを買っておくと3シーズン万能に使えます。
ついでに言いますと、暑い日にはベースレイヤー1枚で行動するのですが、雨具を着なければいけなくなった時に雨具が首筋とかの肌に直接くっつくのが嫌いで、自分は長袖のジップネックを使っています。
上半身についてばかり述べてしまいましたが、もちろん下半身も化繊の下着にすべきなことは言うまでもありません。ブリーフタイプでもボクサータイプでもお好みで。
防寒着
山では下界と違って、真昼と朝方夕方の寒暖差が大きめです。また、思わぬ冷え込みに遭遇することも多々あります。例え真夏であろうと防寒着を用意しておくに越したことはありません。
薄手のフリースを1枚持っておけば、さらに雨具を着ることでかなりの寒さに耐えることが出来ます。予定外に山中で一泊過ごすハメに陥ったとしたら、この1枚が生死をわけることだってあり得ます。必ず携帯しておくべき物でしょう。
ズボン
Gパンで登山することだけはやめておいた方がいいと思います。重いし汗で貼り付いて動き難いし、濡れたらちょっとやそっとじゃ乾きません。脚の冷えは体調を崩す元でもあります。登山用として売っているものでなくても、ストレッチ性が良く乾きの早いズボンなら、快適度が格段に違ってきます。
できれば表面が撥水になっているズボンだとなおいいです。薮の朝露でびしょびしょになってしまうのは良くあること。普通の登山道でも背の低い薮が張り出している道は案外多くあります。雨が降っても小降りだったり樹林帯の中だったら、わざわざ糞暑い雨具を着けなくても用が足りたりもします。
まあそういうズボンを一度穿くと、特に夏場なんかは普段でもそういうズボンじゃなきゃいられなくなりますから、買っておいても損はないかと思います。
その他
足は結構汗をかく部位ですから、靴下も登山専用で揃えた方が快適になります。登山靴を履く場合には、足へのダメージを減らすために厚手の靴下を穿きます。なので、登山靴を買う時に一緒に購入するといいと思います。靴下によって靴のサイズがひと回り違ってきますので。
理想を言えば、着る物の全てを速乾素材の服にするべきですが、そこまで金をかける気がないということなら、少なくとも肌に直接触れる物だけでも速乾素材を取り入れてみてはどうでしょうか。