もともとの予定は3月くらいに雪の山を楽しもうという心積もりでしたが、あんなことがあったために全ての計画は白紙。出かける気持ちにもならなかったというのが本音だけど、4月中旬も過ぎて上日川峠への県道が開通したというニュースを聞いたら、余震の数も減ってきたしそろそろ気分を変えたい気も出てきたので足を向けてみました。
上日川峠の公共駐車場に車を停め、公衆トイレの裏側に回ります。福ちゃん荘側へ向かって介山荘を目指すのが最も楽なコースですが、それはあまりにもつまらない道なので、峠三昧でしょ、ということで石丸峠を目指しました。これにより上日川峠→石丸峠→現大菩薩峠→旧大菩薩峠と少しだけ豪華な峠のハシゴが楽しめます。笹子峠あたりから始めて柳沢峠へ抜ければそれこそ峠好き垂涎の峠三昧と言えるゴージャスさになりますが、日帰りで考えれば今回のコースに無理して丸川峠を加えるくらいが限度です。*写真(1)
枯れ葉が敷き詰められた登山道を進みます。途中、徒渉1回、舗装と未舗装の林道を横切ること2回。2度目の林道では登山道崩落のため250mほど上部に登山道が付け替えられていました。*写真(2) *写真(3)
ここから熊沢山の北西尾根を辿ることになります。所々急な箇所はありますが、全体的には緩やかで歩きやすい道です。*写真(4)
峠が近くなると道は山頂を巻いて尾根を外れます。ここまで来ると木が少なくなり、笹原に覆われた山肌の見通しが良くなります。しかし雲に入ったようでガスが濃くなってきました。*写真(5)
暫く歩くと石丸峠に到着。濃く垂れ込めた霧の粒子が濃淡を変えながらゆったりと蠢き、視界はせいぜい10m程度。枯れ色の笹の葉には霜が貼り付きうっすらと白くなっています。ここは上日川峠方面、小金沢山方面、熊沢山を経て大菩薩峠方面への三差路となっています。*写真(6)
せっかくの峠でゆっくりしたかったけど、景色は全く見えないし、かなり寒いしで立ち止まらずすぐ熊沢山への登りにかかりました。*写真(7)
時折きつい風が峠を吹き付けます。風に流され霧が晴れた一瞬に振り返ると石丸峠の全容が見えました。ちょうど峠の部分だけ避けるように樹林が禿げ、黄色い笹原が広がる光景。大菩薩連嶺の山梨側から東京側に向けて強く風が吹きつけるのだと想像されます。環境の厳しさを感じさせる峠の雰囲気が好きです。*写真(8)