いよいよ核心に近づきました。それまで木々に覆われ薄暗かったのが、ぱっと空が開けて明るくなります。唐突に別世界へ飛び出してしまったかのような、突然の変化に面食らいました。
背の低い草付きの丘を越えると、前方にブルーシートが見えてきます。*写真(1)
丘陵に挟まれた谷の底に川が流れていて、ごろごろ石を撒いた中に人工の造形らしきものが。
近づいてみると、段々畑のように段状に作られた湯船でした。*写真(2)
周囲を見回せば、山をばっくり削り取ったような広々した谷に、草も生えない荒涼とした地獄状の大地が広がります。*写真(3)
すぐ近くまで車道が通っていれば確実に観光地になっていたでしょう。地獄っちゅうより天国だ〜。そんな広漠たる景観を独り占め。
段状の湯船には、湯の花がたっぷり堆積しています。*写真(4)
うん、いや、見た目はいいんだけどね、見た目は。
足を入れてみれば感触は泥と同じ。指の間から、むにゅる〜。
深さもありません。全身浸かるには寝ころぶしかないのだけれど、ちょっと寝ころぶのは勘弁です。湯もぬるく、冷たい風が身体を冷やします。
湯船の上流を見ると、マンホールがちょっと突き出たような人工物があります。その横からパイプが突き出し、湯がとうとうと流れ出ていました。ちょうど湯の落ちる所が抉れて、透明の湯が溜まっています。*写真(5)
で、そちらに入ってみました。
膝を抱えれば胸まで浸かれます。温度も快適。見た目では段々湯船の方には負けますが、実を取れば断然こちらが一番。
しかし、成分も濃いのでしょう、今朝痛めた肛門の辺りにぴりりと滲みて、チョー痛え。前日の薮漕ぎの傷にもチョー滲みる。
ああ、天国と地獄だ〜。