かもしか温泉跡を過ぎ暫く行くと、また沢に当たります。今度は橋もかかっていませんが、沢幅が狭いので対岸の岩に飛び移ります。少し行くと眼前に切り立つ崖が立ちふさがり、上方では白い噴気が風にたなびいていました。*写真(1)
目の前のガレ場は急坂で、岩に「ロバ」とマーキング。ここがどうやらロバの耳コースらしい。ガレとる。*写真(2)
足を置くたびずるずると崩れる石にてこずりながら、それでも登り始めます。なんとか高度を稼ぐと、シュゴー!シュゴー!とすごい音で噴気が吹き出している源泉地帯に出ました。これは、まさに「地獄」だ。*写真(3)
ブルーシートで作られた湯舟が噴気の中にありました。*写真(4)
嬉しくなって、すぐに裸になり湯に浸かる。
目を下にやれば、蒸気に見え隠れしながらもうひとつブルーシートの湯船が見えます。*写真(5)
好き者たちが、湯が出てるとみれば湯船を作る。日を置いてまた来れば湯船がさらに増えているかもしれません。もし湯船工事をしている人とかち合った時には、あんたも好きねぇと言ってやりたい。
風に煽られ噴気が冷たい霧となって、顔に当たります。崖の中腹に有る湯舟からの景色は、これがまた絶品。遠く蔵王の山麓が眼下に広がり、雲上の楽園を満喫。
いつまでもここにこうしていたい。でも、この噴気は、危険なのでは?
もし、硫化水素の濃い部分を喰らったら、数分で死…?
我に返って上を見上げれば、今にも崩れ落ちてきそうな、せり出した崖のひさしが…。もし今、地震が起ったら、崩れる岩の下で平たくなれるに違いない。
そう、どんなに辛酸を舐め尽くし苦労して辿り着いたとしても、そこに長居は無用です。それ程までに、野湯巡りは実が無い。正直、ホント馬鹿だと思うわ。
結局のところ、現場にいたのは30分くらい…。虚しい…。