登山&のら湯-山道のあっち側

安比温泉

訪問データ

【訪問日・天候】

2013年秋 平日 晴れ

【地図】

山と高原地図「5 岩手山・八幡平 秋田駒」

【安比岳登山道入口まで】

何年か前にニュースで見たが、岩手県では野湯も観光資源としてとらえ、観光開発できないか検討しているとのこと。だからなのか安比温泉と草の湯はGoogleマップにも位置が記載されているし、今回安比温泉に行ってみると方向案内まで設置されていた。野湯というと法律違反の勝手工作物とか色々問題もあって堂々と行けない人目を憚るものが多いが、安比温泉に関してはこそこそしなくても良い安心感がある。ただやはり衛生面の問題もあるのでお墨付きになることは絶対にないだろうとは思うけど。ちなみに2006年時点で草の湯ルートは登山地図上に実線で引かれていたが、最新の地図では破線に変わっていた。どうやら残念ながら廃道に向かっているようだ。

安比岳登山道へは、安比高原の奥にある「ぶなの駅」よりさらに奥へ未舗装の林道を突き当たりまで行くとある。かなり荒れているという情報だったが、林道へ踏み入ると未舗装ではあるが良く整備されていて快適だったので肩透かしを食った気にさせられた。しかしそれは前半だけのことで、後半になるとがっつり荒れ始める。オフロード四駆に乗っていた頃だったら好んで突っ込んで行ったような道だが、今はただのミニバンなのでそうはいかない。荒れた道を速度を上げれるような信頼感も無いので、凹部にタイヤを落とさず凸部をトレースするようひたすらとろとろと進む。疲れた。

時間をかけて林道終点まで辿り着くと、車数台停められる広場となっている。安比温泉と書かれて矢印のある木柱も立てられてあった。

写真(1):堰堤から登山道スタート】

広場からも見えていたが、広場より奥へ進むとすぐに堰堤があり、川を横断する。その後はどこにでもよくあるような登山道を進む。

写真(2):茶臼岳方面と安比岳方面の分岐】

歩き始めてから20分ほどで茶臼岳方面と安比岳方面との分岐が現れる。ここは安比岳方面へ。

写真(3):ぬかるんだ傾斜地横断】

ツレの苦手なぬかるんだ道なうえ、滑ったらずり落ちる傾斜地。ツレは道の悪い所ではとにかく足が遅くなる。

時折、ほっ! ほっ! と熊除けの掛け声が山間にこだまする。なにせ八幡平は熊の生息域。同じく熊の生息域でも関東近郊や北アルプス辺りとは違って、なんとなく雰囲気が重々しく感じる。

写真(4):徒渉後山側コースへ】

徒渉もツレの苦手項目。スパッツを着けているので浅いところを選んで速やかに渡ればまず靴の中に水が入る心配はないのだが、結構もたもたしている。

川沿いに上流を目指しても安比温泉に行けるようなルートも地図には引いてあったが、それらしい道は見いだせなかったので山沿いにコースをとる。川沿いルートには崩落あり「危」マークも付いてるので山沿いが無難だろう。

写真(5):安比岳方面と安比温泉分岐】

1時間ちょっとで安比温泉への分岐を記した看板が現れる。安比温泉への矢印の向いた左側に進む。

写真(6):徒渉点】

分岐から下って5分も経たず川に辿り着く。最後の徒渉点だ。

写真(7):川を渡ると安比温泉】

川を渡ってすぐ、木々に囲まれた広場に出ると、その片隅に四角く木の枠で造られた湯槽があった。

【道のすぐ横で脱衣】

湯槽の周囲は草が繁ってうまい着替え場所ではなかったので、少し離れた道のすぐ横で服を脱ぐ。

【入浴】

写真などで見てた限りはぬるそうに思っていたが、湯加減はなかなか良い感じだった。野湯にしては足を入れても堆積物が舞い上がらない。結構頻繁に手入れされているのだろうか。全くの野良とは思えない程度には清潔感がある。

たまに、ほっ! ほっ! とこだまが風に乗って聞こえてき、熊の存在を思い出させる。あまりのんびりしている気にもさせられない。結局入浴していたのは20分くらいか。でもたったそれだけの時間でも、後で時間を見てそんなに短かったとは意外だったほど、そこそこ充実感と満足感を感じることができた。久しぶりの野湯だったしな。