【大菩薩峠〜賽ノ河原】
介山荘を過ぎて暫く行くとごつごつした岩場の登りとなりますが、石塔なんかが立っていたりして旧道の雰囲気がぷんぷん漂い始めます。やっべ、わくわくしてきた。*写真(1)
介山荘を振り返れば石丸峠から小金沢山、黒岳に続く山並の向こうにぽっかり浮かぶ富士山。*写真(2)
東海道でも甲州街道でも広い範囲で姿を見せる富士山。昔の旅人は富士をランドマークに歩を進めたんだなぁと思い眺めると感慨深い。
やがてルートは突き当たり富士山の眺めが最高の親不知ノ頭に到着。右に折れると、そこが賽ノ河原と呼ばれる鞍部。*写真(3)
そしてこここそが、New大菩薩峠ができる以前の旧大菩薩峠なのです。
ちなみに行く手の先に見えている一番高そうなピークは、やった大菩薩嶺はすぐそこだと勘違いしてしまいそうですが、よ〜く地図を見直してみて下さい。はい残念でした、あんなに近いわけありませんね。ここからでは見えないあの裏側にまだまだ登りは続きます。と一瞬騙されかけた私が偉そうに言ってみますよ。
賽ノ河原に下ってみると避難小屋があります。*写真(4)
ここまで樹林帯の中のきつい登りがあり、次に天が開けたと思うと全体に柔らかな山容を絨毯のように覆う笹原と時折現れるごつごつした岩場。遠くに眺める秀麗な富士。そして現れたなだらかで広い鞍部の賽ノ河原。まるで浄土への道を歩んで行くような気分にさせられ、大菩薩と名付けた理由がわかるような気がします。
ここ旧大菩薩峠は風の通り道で遭難も多かったため、現在の場所に付け替えられたということです。おそらく昔は、正面の妙見ノ頭を右に巻くように小菅村・丹波山村方面へのルートが延びていたのだと思われます。確証はないけど。
【賽ノ河原〜雷岩】
賽ノ河原から道は妙見ノ頭のなだらかな斜面を左に横切り、先ほど騙されかけたピークの神部岩(神成岩)に向かいます。
この辺りから妙見ノ頭越しに眺める富士山が一番気に入りました。*写真(5)
神部岩まで来ると、標高2000米の標柱が立っています。*写真(6)
ここから下りの富士見新道への分岐がありますが、富士見新道は危険らしいのでさらに大菩薩嶺を目指して直進です。
神部岩から標高をさらに30メートルほど稼ぐと、雷岩に到着。その少し先に唐松尾根への分岐があります。*写真(7)
【雷岩〜唐松尾根〜上日川峠】
ちょいと甘く見ていたかも。
唐松尾根に進路を変えてすぐ、道は急斜面の下りとなります。こいつが厄介なことに、雪解けのぐちゃぐちゃ泥の上に大小の石ががごろごろ浮いている状態。石の上に足を置けばぐらぐら不安定。泥の上に足を置けばずるっと滑る。しかもこの状態が結構長い。
泣きました。
途中で大腿四頭筋が「もうダメだよ」と泣き言を言ってきましたが、それでも進むしかないじゃないですか。
泣きながら下りましたさ。
上日川峠に辿り着く頃には、すっかり筋力が終わってました。でもね、冬季じゃなければここで終われるんですが、今の時季はまだまだ先が続くんですよ。
躓かないように気をつけながら木の根をまたぎ、凍った溝にはピッケルで足場を作り、時には横向きで、朝に登った道を泣きながら下るのでした。
休憩も入れて全行程8時間。ちょっと掛かり過ぎかな?