登山&のら湯-山道のあっち側

黒部峡谷 水平歩道(大太鼓〜オリオ谷〜阿曽原温泉)

【大太鼓〜オリオ谷】

岩盤をコの字に削り取って道が造ってありますが、よくこんな風に造ろうと考えたもんだ。*写真(1)

大太鼓には「撮影ポイント 大太鼓展望台」と印刷されたプレートが岩に取り付けられてあって、「観光地かいっ!」とプレートに向かってお約束のツッコミを入れておきます。

その後、前方で立ち止まっている人がいるので何かと思えば、「猿」。猿が道を塞いで攻撃を仕掛けてくるらしいのです。ここで10分前後足止め。男女混合5〜6人の団体が追いついて「餌でもやって追い払えばいいのよ〜」と威勢の良いおばさんが暴言を吐きます。まあ餌をやるなんて最低なことをしなくても、さすがの猿も団体には逃げ出したようで、無事通過。

14:25、オリオ谷。

大太鼓の次のアトラクションはオリオ谷にあります。オリオ谷では砂防堤の中に作られたトンネルを通って対岸に渡ります。*写真(2)

そして、水平歩道の中でこのオリオ谷が最後のアトラクションになります。後は変わらない景色の中をひたすら歩くだけ。黒部峡谷の醍醐味は仙人ダム〜黒部ダム間の下の廊下にあるわけで、水平歩道は山頂を目指す登山のように絶景もなければ変化も少なく、最初のスリルが麻痺した後ははっきり言って面白味に乏しい単調なコースです。

ちなみにこの一週間後、猿に驚かされた女性登山者がオリオ谷で30m滑落して怪我した事故がありました。このニュースを見た時、オリオ谷で良かったな〜と。別の場所だったら200m墜落死だってあり得ます。

【オリオ谷〜阿曽原温泉】

阿曽原温泉が近くなると、最後に急な下りが待っています。これはかなりきつかった。大柄な岩がごろごろした崖をジグザグに下る道ですが、脚に来るダメージを考えるとトレッキングポールが欲しくなりました。

下る途中で阿曽原小屋が見えます。まだかなり遠くて、あそこまで行くんか〜と思うとさらに足取りが重くなります。*写真(3)

下りきると渓流に架けられた橋があります。これを渡った少し先にテント場、その向こうに小屋があります。*写真(4)

小屋はテント場より上にあり、これの登りが息も絶え絶え。*写真(5)

16:15、阿曽原温泉到着。

下の廊下が開通した直後とあって次々と登山者が到着します。皆さん荷物が軽そうで、大きい人でもせいぜい30Lくらい。やっぱ小屋泊りは楽そうだぁ〜。

小屋の中では食事の準備中で、さらに遭難騒ぎがあったとかでてんやわんやの慌ただしさ。思ってたより疲労を感じたので小屋飯が食いたいなと思って聞いてみました。受付の人が奥に向かって「追加入る〜?」

「無理っ!!」

奥から即答。残念。

テン場にあったのは2張。この後暗くなってからもう1張増えて合計4張。10張もあったら狭く感じそうだなという広さ(公式には30張)だったので、混雑もなくラッキー。これからのピーク時にはここに100張も張ろうという事態になるらしい。想像するとぞっとします。

完全に日が落ちてからも次々と登山者が到着します。途中でものすごく歩みの遅いおじいさんを追い越しましたが、恐らく無事到着できたことと思います。というか到着できたと思いたい。

夜、20:30を過ぎてから露天風呂へ。誰もおらず満喫。

朝起きるとぼたぼたと雨。仙人温泉どうすっかな〜と考えながらとりあえず露天風呂へ。*写真(6)

雨の中の着替えは服の置き場にも困るし厄介なものの、またしても誰もおらず温泉を満喫。といっても雨がさらに強くなってきたので早々に戻りましたが。天気は快方に向かう予定だったんだがな〜。

露天風呂からテン場に戻る上り坂で、がくがくして力が入らない脚のダメージを思い知らされ、仙人温泉断念を決めました。なんてっても雲切新道のきつさを聞いていたもので…。川原に下りて野湯を楽しみながら丸一日休息して翌日の様子を見ようかなという考えも浮かびましたが、雨が激しくなったのでそれも諦めて帰途につきました。

"水平"歩道だからってちょっと甘く見ていたか。最初の登りと最後の下りで脚を使いきってしまった感じ。もっとトレーニングしとかんと。