登山&のら湯-山道のあっち側

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登山道には様々な変化があります。不安定な路面、立ちはだかる岩の壁、露出した木の根、滑りやすい急坂、どんなに上手く歩き方をコントロールしようと思っても、そうは問屋が卸してくれません。まったく疲れない登山なんてあり得ません。

そこで、速やかに疲労を取り除いて体力を回復させることが必要になります。

歩きながら休む

後ろ足を蹴らない歩き方の説明はしました。この歩き方はつまり後ろ脚に力は必要ないということです。前脚に体重が乗っている時、後ろ足を前足より高く上げるまでは筋肉を殆ど使わなくて済みます。

また、平地で通常歩く時がスタスタスタ…というリズムだとして、登山の時はスタ、スタ、スタ、という感じになります。一歩一歩の間に一拍入る感じです。

実はこの一拍の間に脚を休憩させているのです。具体的には、後ろ脚をリラックスさせて変に力を入れないようにします。これは脚が非常に疲れてくると誰でも意識せずやっていることだと思いますが、それを疲れる前からやってしまえば良いのです。これにより疲労が脚に溜まるのを先送りすることができ、長時間の歩行でも苦にならなくなります。

但し、その一拍は立ち止まるのとは違います。完全に止まると再び前進するのに力を必要としますから、進行方向への慣性は殺さないように動き続けます。

登山中の休憩

ジョギングしてて信号に引っかかった時は足踏みを続けている光景をよく見ると思います。せっかく有酸素運動で動いていた身体が止まったことによりリセットされて、再び無酸素運動から始めなければならなくなるのを防止するためです。身体を冷やさないという表現をしますね。

登山もこれと同じで、休憩時間が長いと身体が冷えてしまい、再び歩き始めが辛くなってしまいます。疲れてくると長く休みたくなってしまいますが、それはより疲れてしまう結果になるので、休憩はできるだけ短くします。時間は心拍数が少しだけ落ちつく程度、決して平静時にまで心拍数を落とさない程度となります。

30分〜1時間の大休止を取るのは、昼食休憩のせいぜい1回だけにして、それ以外はずっと歩き続ける方が総合的に疲れは少なくなります。

翌日に備えて

数日を跨いで登山する時には、一晩でできるだけ体力を回復させないと、翌日から辛い山歩きになってしまいます。若けりゃすぐ回復して翌日まで疲れを引きずることはないんですが、歳をとるほどに疲れが抜けなくなってくるんですよね。回復の遅さに歳を実感してしまいます。

ストレッチ

痛いほどぐいぐい筋肉を伸ばすのは良くないとされています。逆に筋肉を痛めてしまうそうです。痛くない程度に筋肉を伸ばし、その状態を数分間維持します。大腿四頭筋、ハムストリング、腓腹筋とヒラメ筋を特に入念にストレッチします。

力任せに筋肉を揉むのは筋繊維にダメージを与えてしまいます。揉まない方が良いのですが、揉むなら血行を良くする目的で易しくさする程度にします。

筋肉の修復

筋肉痛は、筋繊維が切れて炎症を起こす現象です。筋繊維の修復には蛋白質が必要になります。一日の登山を終えたら、蛋白質が多めの食事を心がけると回復が早くなります。蛋白質を構成する必須アミノ酸を含んだサプリメントを活用するのも手です。

風呂の入り方

風呂のある山小屋は極めて数が少ないですが、もし風呂があったら湯に浸かってゆっくり疲れをほぐしたいところです。また、下山後に温泉へ寄るのもいいですね。風呂に入って血行を促進すれば疲れも早く抜けます。

しかし、風呂の入り方を間違えると逆に乳酸が出てかえって疲れたりします。

到着後すぐに風呂に飛び込むというのは乳酸が出やすいそうです。1〜2時間は安静にして、筋肉の緊張を解いてから入浴するのが良いとされています。ストレッチなどクールダウンに時間をかければちょうど良いタイミングになるのではないでしょうか。

寝起きにすぐ風呂に入るのは自律神経を狂わせる元になります。入らないか時間を置いてからにして下さい。また、ぬるめの湯では副交感神経に働きかけて安静時の身体の状態になります。朝風呂は熱めの湯にさっと入るのが良いかもしれません。