登山&のら湯-山道のあっち側

初心者登山入門 » 道具 » 必需品 » ツール

登山ってのは快適さを追求しだすと際限なく金がかかり始めます。例えばいちいち荷を下ろして水を取り出すのは面倒だからまずドリンクホルダー辺りが欲しくなるでしょうし、欲を出し始めるときりがありません。

ここでは絶対に持たなければいけない物だけを紹介します。

地図

地図を忘れたらその日の山行は諦めましょう。それほど地図は重要なものです。

温泉付きの山小屋を目指すくらいであれば、書店で売っている登山地図でOKです。野湯にまで食指を伸ばすと1/25000地形図が欲しくなるでしょうけど。

ガイドブックだけを持って行く人もいるようですが、ガイドブックに載っている地図はスケールが大雑把過ぎたり、肝心な箇所がページを跨いでいたり、そもそもコンパスを使って現在地の測定をするのが非常に厄介になりますので、最低でも登山地図が必要です。登山地図には参考となるコースタイムが記載されているので、距離感を掴みやすく予定を立てやすくなります。但し、あくまでも参考に過ぎず個人差がありますので、余裕を持った行動予定を立てて下さい。

登山中に地図を取り出して風景と比べたりを頻繁にしていると地図に慣れ、そのうち地図を見ただけで実際の地形が想像できるようになってきます。そうなれば地図を見ているだけで楽しくなります。コンパスを使って現在地を特定するやり方はここでは説明しませんが、本などを読んで一通り憶えておくと道に迷った時に役立ちます。鉛筆も持っておくと現在地特定がやりやすくなります。

最近ではスマートフォンで登山地図が見れるようになり、高いハンディGPSを買わなくても、アプリを入れるだけで手軽にGPSが利用できます。山と高原地図をスマホに入れて地図を買えば、いつも見慣れた山と高原地図上で自分の現在位置を知ることができます。弱点はバッテリーの持ちと、直射日光下での液晶ディスプレーの見難さ。寒さにも弱い。予備バッテリーは必需品です。但し当然のことながら、バックアップという点でも紙の地図がいらなくなるわけではありません。

コンパス

地図だけ持っていてもコンパスを持たなければ非常時になんの役にも立ってくれません。

コンパスといっても100円ショップで買ったようなものでは方位を知るくらいにしか使えませんので、定規と一体のスケール目盛りが付いて方位目盛りが回転できるタイプのものを選びます。値段もさほど高くありません。定番のSILVAのコンパスを買っておけば間違いはないでしょう。

時計

時計も忘れてはいけません。予定より遅れているのか、暗くなる前に到着できるか、引き返すか進むかの判断に使えます。山では街にいる時と時間の過ぎる早さが違って感じられます。ガスに捲かれて太陽など見えない場合もありますし、樹林帯では時間の割にずっと早く暗くなります。

普段使っている腕時計で充分ですが、気圧が測れて高度がわかる多機能時計だとなにかと重宝します。正確でないにしろ現在の標高がわかれば、あと○m登れば終わるとか、もう○mも登ったぜと励みになります。まだ○mも登らなきゃなんねとがっくりすることもあるんですけどね…。但し、方位計の付いた腕時計もありますがそれだけで済ませてコンパスを買わないというのはやめた方がいいかと思います。

ライト

ライトも男の物欲をそそる道具ですね。

山ではちょっとした計画の綻びから思わぬ場所で日が暮れてしまう危険があります。晴れてない日はもちろん、良く晴れて月が明るい日でも樹林帯の中では漆黒の闇になります。運が悪ければ本当に自分の足さえ見えない状態です。そんな時に灯を持っていなければ一歩も足を踏み出すことが出来ません。大袈裟でも何でもなく、マジで見えないんです。例え日帰り登山であっても、1〜2時間程度の短い行程だったとしても、何のトラブルもなく予定時間通りに行動できる保証なんてありません。ライトは必ず持つべきです。

両手をフリーにできるので、頭に着けるヘッドランプが最適です。最近は高輝度LEDの製品が主流で、電池がかなり長持ちするようになりました。また、球切れの心配も大幅に減っています。

ツェルト

軽量な簡易テントのことです。

遭難事故の多くは道迷いであるとのことです。道に迷った時は稜線に登り返すことが鉄則ですが、疲れて登る気力が出ないとか、日が暮れる前にと焦るあまりに、迷ったことを認識しつつも下り続けてにっちもさっちも行かない状況にまで追い込まれてしまう、というのが道迷い遭難の定番です。

ツェルトを持っていれば心に余裕が生まれます。登り返してたら陽のあるうちに帰れないとか、疲労困憊で登る力がないって時にも、ここでビバークしちまえと判断できます。焦らず翌朝また登り返して道を探せばいいのです。

山の夜は冷え込みますので、ツェルトを身体に巻いて寝ればぬくぬくと熟睡できます。眠れれば翌日までに充分体力が回復できます。非常食も持っていればビバークが単なる山の一泊に変貌です。細引きも持っていればツェルトをテントのように張ることができ、快適なキャンプに早変わり。寒さに震えて眠れない惨めな一夜を過ごすのとは雲泥の差です。

非常時以外は使うことのない装備(ツェルト泊を趣味にしている人は別)ですが、軽量だしコンパクトで場所も取りませんから、転ばぬ先の杖として携帯することをお勧めします。理想を言えば、仲間とはぐれる可能性だってあるので、一人ひとつの個人装備とするべきです。

救急セット

バンドエイドや消毒薬、ピンセット、ハサミ、包帯、頭痛薬などをひとまとめにした救急セットを作っておくと便利です。

自分は一通りの薬や絆創膏と一緒に、ブドウ糖・飴・カロリーメイトなどの非常食をエマージェンシーキットとしてひとまとめにして、必ずパックに放り込んであります。

それとガムテープをひとつ持っておくと、靴のソール剥れや道具の破損時に応急処置ができます。自分はダックテープを持って行くのですが、粘着力も強力で水にも強く、手では簡単に切れるのに丈夫で引きちぎれ難いため使い勝手が良いです。