
登山道の種類
意味不明なタイトルになってしまいましたが、登山道と言うか路面の状況的なことについて、特徴的なものを挙げてみます。
ザレ場・ガレ場・ゴーロ

石や岩が堆積した場所のことです。ザレ場は砂利、ガレ場は砕石、ゴーロは岩、というように左から順に石が大きくなります。どれも足場が不安定になりますので、歩き方に気をつける必要があります。平地の歩き方をしていると滑りやすく、落石を起こしてしまいます。ある程度傾斜のある所では自然に起きる落石や誰かが落とす落石に当たらないように、できるだけ素早く通り抜けなければいけません。
階段

歩幅は合わないし段差も不親切だったり、大きなお世話的に思われがちな階段ですが、それは大きな間違いでそもそも人間のために造られているものではありません。雨水などで土が流出し道が崩壊するのを防止するのが主な目的です。だから、したり顔でこっちの方が楽なんだぜと言って階段の脇を歩くのはやめましょう。
鎖場

崖や急斜面に鎖や固定ロープの補助が取り付けられています。といっても一般登山道ですから、鎖がなくてもなんとか登れるかな程度な箇所に付けられています。これは無理って場所にはハシゴが架けられているものです。なので鎖に頼り切って登るのはやめた方がいいです。ひとりが登りきってないのにすぐに取り付こうとするせっかちもいますし、そうなると鎖が大きく振られて怖い思いをします。
鎖場ってのは高度感と露出感が大きい場所にあるのが大抵ですから怖さを感じるかもしれませんが、怖がって岩にべたっと貼り付くと逆に滑りやすく危険です。身体を岩から離すのがコツです。どんなに急な傾斜地や岩場でも、手ではなく脚で登ることが第一の基本です。
スラブ

一枚岩で表面が滑らかになっている場所です。傾斜が強く垂直に近いものはフェイスと言います。
スラブには砂が浮いたり苔が乗っていたりして、非常に滑りやすかったりするので気を抜けません。落ちるとやばいぞって所に現れたりするので、嫌な存在です。怖がって腰が引けると特に滑りやすくなるので、慎重かつ堂々と歩く必要があります。特に下りは滑って転びやすいので注意して下さい。濡れていると非常に厄介だったりします。
洗濯板のように溝が層状に刻まれたスラブがありますが、落ちる方向へ抵抗が少ないように溝の向きが刻まれているのは逆層スラブと呼びます。
トラバース道

ある程度傾斜のある山腹を上に登らず横(水平)移動する道です。頂を経由せずショートカットして先に進む目的の道に対しては巻き道と呼ぶこともあります。
トラバース道は傾斜を削って足を置ける幅が確保されていますが、斜めのまま足跡だけが付いているような所も少なくありません。見るからにやばそうな場所にはロープが取り付けられている場合もあります。大抵は道幅が狭いうえに落ちればかなり下まで止まれないような場所なので、注意する必要があります。特に雨の日などはこんな場所でスパッツを引っかけて躓かないように。
涸れ沢

普段は水がありませんが、雨が降ると流れを作ります。登山道は涸れ沢をルートにしている箇所が多くあります。ゆったり広々した涸れ沢もありますが、それ以上に深く抉れた険しい涸れ沢が多いです。水に抉られて荒れ、大きな岩や小さな石が不規則に転がり、さらに傾斜も急なことが多い上、背丈くらいの段差も頻繁に現れます。岩も浮いて不安定です。最も体力を消耗する非常に厭らしい道のひとつです。大雨になるとかなりな水量が流れたりするので、通ることが困難になる場合があります。
滑滝

野湯に行くにはいつか避けて通れない道です。滑るので慎重に足場を見極める必要があります。水量が多い日にはあっさり諦めるが吉です。
木道

木道は湿原の保護のために設けられている道なので、尾瀬を代表とする、とても気持ちの良い景色の中にある場合が殆どです。晴れた日は最高の気分でトレッキングできます。
しかしひとたび雨が降ると、他のどれより滑りやすくなります。傾斜の緩い場所に設けられているため、緊張感に欠け転ぶ人が最も多いのが木道です。注意しましょう。
湿原保護の目的であるのだから、もちろん木道を外して歩くのはルール違反です。ストックを使う場合は木道を傷めないよう石突をゴムキャップで覆うことはもちろん、木道の外を突いてはいけません。
稜線・尾根

山体を見ると、盛り上がった部分と凹んだ部分が山頂からスカートのヒダのようになって裾へ延びています。ヒダの盛り上がった部分を尾根と言います。逆に凹んだ部分は沢になります。峰と峰を結ぶ尾根に対しては、山裾に落ちる尾根とは区別して稜線と言うこともあります。天空のハイウエイといった感じで、とても爽快な山歩きの醍醐味が凝縮されています。
両脇が鋭く切れ落ちたナイフリッジと呼ばれる尾根もあります。非常に狭く、よろければ滑落する危険があり気が抜けません。観光地的な名称ではよく蟻の門渡りと呼ばれているような場所です。
コル・鞍部・峠

別に危険ということではないのですが好きな場所なので挙げました。峰と峰に挟まれた尾根の一番低い場所のことをコル、または鞍部(あんぶ)と言います。山越えする時は山々の一番低い鞍部を乗り越すように道が付けられますので、峠とも呼ばれます。キツイ登りが徐々に緩やかな傾斜に変わって広々した開放的な景色が広がり、ひと休みするのに最適な場所です。
雪渓
谷や沢に吹き溜まって溶け残った雪の塊のことです。雪渓では落石が多いのですが、音も立てず落ちてくるので非常に危険です。白馬大雪渓では毎年必ず怪我人や死人が出ています。立ち止まらず速やかに渡りきることが必要です。雪渓上で休憩するなんてのはやばいですよね。
アイゼンが必要かどうかは雪質と傾斜で判断しますが、実際に何度も経験してみないと判断は難しいかもしれません。周りの人を見て判断しようとしたって、実力がわからないのだからそれで決めるのは危ないし、雪渓があるのをわかっていてもアイゼンを持たずに来る人も大勢います。昼間はざくざくでアイゼンなしで平気でも、早朝などは表面が凍ってアイゼンがないととても歩けない状態だったりということもあります。滑ってコケたら止まれるかなと考えて、恐怖感があるようならとりあえずは付けた方がいいと思います。ただ、アイゼンに慣れていないと引っかけて転ぶこともありますので、転んでも大丈夫な所で充分慣れておく必要があります。
俺的山岳温泉難度順位(推定含む)
時間や距離だけでなく体力的な疲労度などを勘案して、山岳温泉(混浴温泉)インデックスにある温泉を順位付けしてみました。楽な方から並べてあります。なお、感じ方には人により違いがありますので、あくまでも個人的な順位と考えて下さい。さほど外してはいないと思いますが。実際に行ってない温泉は地図やガイド本などから推定しています。
- 1.岩間元湯
- 徒歩1時間・標高差150m。全行程が林道です。登山と呼べるほどでもなく、単なる未舗装路歩きで終わります。車が通れる程度ですから傾斜も殆どありません。ただ、噴泉塔群まで足を延ばす場合には山越えがあります。
- 2.八丁の湯・加仁湯・日光澤温泉
- 徒歩2時間・標高差300m。以前の山越えルートはそこそこきつかったのですが、川沿いルートが整備されてからは観光ハイキングコースみたいな感じで登山らしさはありません。
- 3.湯俣温泉(推定)
- 徒歩2時間50分・標高差150m。距離はありますがルートの約半分は林道で、登山道っぽくなってからも川沿いに進むので殆ど登らなくて済みます。なんといってもこの距離の長さで僅か150mしか上がらないのですから。
- 4.本沢温泉
- 徒歩2時間10分・標高差500m。ほぼ全行程樹林帯の中を歩きます。キツイ傾斜もありません。変化に欠けるので肉体的より精神的に長く感じるかもしれません。オフロード四駆なら本沢ゲートまで乗り入れて時間を短縮できます。但し、一応は2000mを超える標高ですので、ナメきった装備はやめといた方がいいと思います。
- 5.三斗小屋温泉
- 徒歩1時間40分・累積標高差500m。出発地点の峠の茶屋と三斗小屋温泉の標高差は10m程度しかありませんが、峠越えで250m近い標高差の登りがあります。まあ半分は下りなので大した事はありません。ちなみにロープウェイを使うと標高を200mほど稼げますが、一度茶臼岳の頂上近くまで登らなければならないので、累積標高差を計算してみると590mになりました。ロープウェイを使っても時間も体力も節約できません。峰の茶屋付近での強風に注意。
- 6.赤湯温泉
- 徒歩2時間・累積標高差430m。最後の50mほどの下りが急ですが、それ以外は特筆すべきほどのきつさはありません。登りが始まってから暫くは傾斜が強めなので若干きつく感じますが、長くは続きません。アプローチに林道歩きがあるので、これがいい暖機運転になります。登山らしさも味わえますから、ハイキングからステップアップする感じで本格登山への橋渡し的に赤湯温泉を目指してみるのは良い選択だと思います。
- 7.澁沢温泉
- 徒歩2時間・標高差430m。標高の変わらない平面移動が続いた後にどーんとイッキに下ります。下りは路面も悪いのでそれだけに疲労も大きい。なお、宿泊者用の駐車場を利用すれば徒歩1時間程度で済むうえ標高差もなくなり、段違いに楽になります。辛いのが嫌な人は宿泊して下さい。
- 8.白馬鑓温泉
- 徒歩4時間50分・標高差780m。距離が長く日帰りは難しい。7月ではまだ雪渓が大きく残っているので、雪渓歩きに自信がない人は8月・9月に行くことをお勧めします。白馬岳などの北アルプスらしい景色も楽しめ、変化もあるのでそれなりに登山らしさが楽しめます。特別危険という箇所はありませんが、ある程度の体力と、標高2000mを超えるので防寒着など高山に準じた装備が必要です。
- 9.阿曽原温泉
- 徒歩5時間20分・累積標高差470m。この辺りのレベルからリスクも高くなり、本格的な登山という感じになってきて、さすがに気安くオススメできなくなります。技術的に難しい箇所があるというわけではないのですが、不注意が死に直結するので精神的に疲れます。肩幅程度の道幅があれば歩くのに充分な広さなのですが、水平歩道では一歩よろければ200mの墜落です。ザックの厚みに慣れてないと振り返りざま岩壁にザックを押されて…なんてことにもなりかねないので、登山に慣れないうちは踏み込まない方がいいでしょう。山慣れしていないと疲労時に平地の歩き方になってしまい足を滑らせる事故は頻繁に起きています。水平歩道で事故の無い年は殆どなく、多くは死亡事故です。
- 10.高天原温泉
- 徒歩13時間15分・累積標高差1630m。どこから入山しても楽に行けるルートはありません。大東新道は長く続く川原歩きで体力を消耗、最後に急登が控えています。荒天時には通行できません。雲ノ平経由はいつ終わるともしれない急登の長丁場。体力によほど自信があるのでなければ、時間にかなり余裕を持たせたスケジュールを。
- 11.仙人温泉(推定)
- 徒歩10時間20分・累積標高差1300m。阿曽原まででも充分疲れますが、そこから先がかなりの急登で、ハシゴ、ロープと続くために消耗が激しそうです。殆ど気が抜けない道が続くため、精神的にもかなりきつそうです。